四十九日も過ぎ、ふとした寂しさからも解放された頃に思い出すのが、親が暮らしていた家の空き家問題(家じまい)です。
じつは親の実家は思い出が詰まっており「なかなか整理できない」という気持ちが残りますが、放置しておくとやっかいな代物となり、相続税などの問題が発生してしまう可能性があります。
そこで、ここでは「家じまい」について簡単におさらいをしておき、実家を整理する前の予備知識として心に収めておきましょう。
「家じまい」とは相続税対策として空家となった実家を処分すること
まず「家じまい」において、当事者である相続人としておぼえておくとよいことが以下の二点です。
- 空き家として放置しておくと相続税がかかる
- 廃墟にしておくと自治体に迷惑となる
「実家だから関係ない」と考えていても、相続人となった時点で上記の役割が親にかわり、あなたにかかってきます。
さらに昨今の国の問題として取り上げられているのが日本の空き家問題です。
日本では空き家が年々増加しており。2020年以降、その数は増加の一途をたどっているのをご存じでしょうか。2018年度の統計でも全体の130%以上が空き家であるといった状況です。
総務省が実施「住宅・土地統計調査」より
空き家が増えると草木の手入れをする人がいないばかりか、不法侵入者が住みこんだり、犯罪等の隠れ家になる可能性もあります。
また空き地を不法投棄場所として勝手に大型ごみを捨てていく人も現れるかもしれません。
いくら実家だからとはいえ「落ち着いたら片づけよう」と思っている間に、上記のような問題がやってくることは先に知っておいた方がいいでしょう。
家じまいを理解し、相続人で確認する3つのこと
家じまいが理解できた時点で、相続人同士で「実家をどうするか」話し合う必要があります。
もし相続人が一人であった場合でも、プロに相談するなどしてメリットある対処法を考える事がいいでしょう。独断と偏見で進めるよりも、客観的なアドバイスがあるとより的確な対応が見こめます。
- 相続人同士の意見を聞く
- 処分の場合解体業者に費用を見積もってもらう
- 家財の処分業者、不動産会社を探す
「家じまい」は子どもの負担を軽減する知恵である
同居していた場合は別として、家じまいをする一番の理由は子どもに負担をかけないために行います。
一番負担になることとしてあがるのがこれから増税が予想される相続相続税です。
そこで子どもは暮らしておらず、かつ親もいなくなった空き家にかかる税の負担を軽減するというのが「家じまい」の一番のポイントです。
さらに毎年の固定資産税、火災保険料、修繕費。庭などがあれば草木も生えてきますので、隣人問題にもつながります。
「遺産放棄をすればいいのでは」というお考えもあるかもしれませんが、実家の場合は、たとえ相続放棄したとしても財産の管理責任を負うことが民法に定められているのです。
おわりに
「家じまい」について簡単にご説明させていただきました。
実家には税金がかかるということだけでも理解できれば、その後に何をするべきか漠然と予想が経つかと思います。
また最近では、子どもから解体業者などに「家を閉じたい」といった要望も多く、い一軒家のような小さい規模でも丁寧に行ってくれる業者が増えてきています。
できれば親が元気なうちから少しずつ話し合いをして、家じまいをどうするか流れをつくっておくと、後々起きることに対しても落ち着いた対応ができるはずです。